●医療制度研究会那須フォーラム講演「ALL JAPAN 日本医療再生に向けて」
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| 日本の医療は費用の割に健康達成度は高く、WHOから世界一の御墨付きをえているが、日本の医療費は、GDP当たりで比較すると世界18位でG7中で6位。日本の医療費30兆円は
2000年の携帯電話とパソコンの売り上げ26兆円、葬儀関連産業15兆、海外旅行等レジャー費用72兆、公的年金33兆、公共事業50兆、1992年のパチンコ売り上げ30兆円と比較しても決して高くはない。一方信じがたいが、日本の公共事業費はG7中で他の6ヶ国の合計よりも多い。 もし日本の医療費支出をGDP比で米国並の13.0%にすれば54.1兆円、ドイツ並の10.3%でも42.9兆円になり医療費不足は一気に解消する。 米国の保険会社AIUのパンフレットによると、米国私立病院で急性虫垂炎の手術を受けると1泊2日入院で料金は240万円、済生会栗橋病院は7泊8日で34万6千円、北京やソウルよりも安い。今回全国の特定機能病院で導入されたDPC別の診療報酬支払い制度では胃癌手術費用が30日間入院で 200万円程度だから、日本の物価水準を考慮すれば、これで米国並の医療レベルを達成することは不可能だ。 日本の超低医療費は厚生省の中央社会保険医療協議会(中医協)によって抑制され続けてきたが、さらに昨春国民皆保険制度始まって以来のマイナス改定が行なわれた。中医協メンバーで診療側委員の絶対数は少ない上に、大学や病院代表はもちろん、看護師、そして患者代表が一人もメンバーに含まれていない。その結果多くの病院は赤字経営を余儀無くされ、一方メーカーは黒字続きというここでも企業優先の医療経済を実現した。 今以上の医療費削減を目論んで、厚労省や御用学者は日本の入院ベッドの多さと長期入院を問題視するが、1999年のOECDデータでは人口1000人当り日本のベッド数は16.4床で米国の3.6床と比較すると多いものの、米国のベッド数には日本では含まれる療養・老健等いわゆる福祉部門のベッドは算入されておらず、米国の入院期間にはナーシングホーム等を含めていない等の問題があり、これらのデータの再検証が不可欠だ。また医師数に関しても1999年OECDデータで人口1000人当り1位のイタリアが5.9人、4位のドイツは3.5人、19位の米国が2.8人に対し日本は1.9人で世界25位。しかし厚労省は将来医師過剰と試算し、医学部定員の削減を進めている。「人は誰でも間違える」という世界の常識からも、医療の安全と質を確保するためには、コストとマンパワーの見直しが必要最低条件だ。 経済学者の宇沢弘文氏は「日本は戦後復興をばねに驚異的な経済成長を遂げ、先進国の仲間入りをはたし明治以来の夢を実現したが、美しい自然は失い、日本の地域社会は無残にも崩壊した。地元が「もういらない」と言っても国民の税金を費やして、強権発動でダムや堤防を無理やり押しつける「人間不在」の政治、行政の論理がまかり通っている。その結果、国と地方を合わせて666兆円に及ぶ何十年にもわたる莫大な負債を、子供達に悲惨にもおしつけている。今こそすべての人々が豊かな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするように教育や医療を始め、社会制度、自然環境、道路などの社会的共通資本を”社会的装置”として整備すべきである・・・」と日本の現状を憂いている。またニューヨーク市立大学大学院教授の霍見芳浩氏も「日本はデモクラシーを装っているが、その実態は国家が国民から収奪して、一部の人間が私腹を肥やすクリプトクラシー(収奪、盗賊)政治体制だ」と米国政府内部で囁かれていたと警告し、これからの日本は「医食住足りて礼節を知る国」を目指すべきと提言した。 今まさに日本は江戸幕府末期に匹敵する混沌とした時代を向かえている。古い中国の諺に「小医は身体を医し、中医は人を医し、大医は国と社会を医す」があるという。ここにいたっても私達医療関係者が「まさかお上が・・・」や、「わかってはいるけれど・・・」等と政治や社会の在り方に無関心なままでは、21世紀に日本が真の民主主義国家になることは不可能だ。一人一人が行動を起こす勇気をもたないと、医療のみでなく日本そのものが沈没する。 |
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