講演会
●第18回医療制度研究会講演会講演要旨
「病院医師の評価制度」
済生会熊本病院 事務長 正木義博先生
正木先生は早稲田大学の御出身で、学生時代はラグビー部で活躍され、住友金属勤務を経て、平成7年に済生会熊本病院の事務長に就任されました。少人数集団の早稲田ラグビーが強かった秘密は実力本位のチームつくりにあり、監督が部員一人一人と面接し、課題を提示し、部員はそれを自分の目標にしていた。企業在職中は、組織、ミッション、ヴィジョン、ヴァリュー、リーダーとマネージャーの違い、「長」とは何かなど、病院改革に必要なものを学ばれたそうです。今回のテーマである人事制度改革は、平成7年に始まった病院改革の流れの中で必然性があって生じたもので、すべてが職員による手作りとのことでした。
I.済生会熊本病院の病院改革
1.平均在院日数と熊本の医療圏
済生会熊本病院の平均在院日数は現在12.6日、このためには転院先の確保は必須である。熊本では7から8の公的急性期病院があり、それぞれに連携関係を強化している。慢性期リハビリテーションの転院先も豊富で質も高い。つまり病院の機能分化が進んでおり、疾患に応じて得意の分野を分担していることになる。
周辺の400余りの医療機関とは常に情報交換を行っている。メディカルソーシャルワーカーは4人いて患者さん家族と退院の1週間前から相談にはいっている。病院間では勉強会なども実施し、それぞれが地域社会に貢献したいと考えている。
救急と高度医療を主体に置いている。特に救急は高度医療とともに重点事業なので、いかなる場合も、受け入れるよう皆が意識している。受け入れを断わると、院長にまで報告することが義務付けられている。来院のルートは外来か、紹介か、救急かしかない。そうかんがえると救急の役割は大きい。周りの医師、医療機関から信頼されることが重要でそれには高度の医療と専門性が必要である。しかし、専門分化が進みすぎると、院内感染などの共通の問題意識が薄れることが懸念される。今後は共通の問題を扱う横の組織を構築する予定である。
2.急性期病院とセンター方式。
平成に入ってから急性期を目指す方針で、救急と直結した混合外科を新設した。院長の専門は消化器の内科であったが、昭和50年に外科と一緒になるといって一つの消化器の診療科を作った。胃腸科と標榜し、センター方式の始まりだった。センター方式では科の標榜はせず臓器別としている。神経内科は標榜科にはないが、必要な機能として神経内科医7名が脳卒中センターに勤務している。現在の標榜診療科は8科しかない、脳、心臓、消化器、それを助ける腎臓、救急で整形という構成である。急性期病院を目指し診療内容を重点的に絞りこむ方針できたため、結果的には同じような疾患の受診者が集中して、診療の質が上がることになった。脳梗塞の症例数は日本一と聞いている。救急の病棟は混合病棟を作って対応した。急性期病院を目指し、在院日数を下げるための努力は相当行った。患者さんの理解を得るためにクリニカルパスが活躍し、できるだけ低侵襲手術を奨励し、ガンマナイフ等も買い入れた。病院には160の個室があり、差額ベッド収入が年間4億円ある。
在院日数短縮には医療設備は重要である。しかし投資額は高額になるためできるだけ、それをうまく回すしくみが必要となる。MRIは4台、CTは3台ある。CTは一日で80例以上をこなすなど技師達が非常に協力的である。如何にして技師達のやる気を持たせるかが課題であると考える。血管造影装置は4台所有しており、手術室よりも収入が多い時もある。モービルCCUを自前で持っていて済生会から診療所に患者さんを迎えに行く、病診連携、地域医療には必要な設備である。平均在院日数は年々下がっていったが12日以下になかなかならない。ここらで一休みしたいといった声が現場から出ている。さらに下げるための準備期間として考えてもいいと思っている。
病床利用率にはこだわらない。病床回転率が問題。在院日数が下がると空床ができる。ある日、現場の婦長さんから空床があっても経営上問題はないかと問われて、須古院長は、在院日数の短縮は病院の実力を模索しているところ、空いたベッドが埋まらなければそれが我が病院の実力と判断し、病床を削減して次の展開を探ると答えた。それから在院日数の短縮に拍車がかかった
本院の外来単価は高い。入院前検査や化学療法など、入院診療を外来に移しているからで、急性期病院のあるべき姿と思う。急性期特定病院加算の要件の一つの外来入院比率は10年前から1.5を割っている。厚生労働省の急性期特定病院加算の原型と思っている。初診の紹介状を持たない患者さんを来にくくしたりして紹介率を上げる考えもあるが、紹介状が無くても初診をいやがることはない。初診が多いことは病院への信頼の現れであると思っている。
3.病院経営の現状
熊本済生会では400床の病院を120億の借入金をしてオープンさせた。職員は930名で3分の1が委託職員である。正職員の人件費は35%であるが、3分の1を占める委託職員には4%しかかかっていない。このことも差額ベッドの利益とともに経営に貢献している要因の一つである。医師は採用数を増やし、看護、コメディカルも数を多くしている。看護婦は400人近くいるが最近、離職率が気になっている。職員が多いことは在院日数を短くしても、質を維持し、高めていくためにはどうしても必要なことである。事務職の採用は極力抑え、計算や転写などの作業部分を契約社員に、正職員は企画、経営などに力を入れていくようにしている。収入は12年度で135億。医師採用委員会では医師を採用する際、採算を第一に考える管理型から、どういう計画のために何人採用するという目的遂行型に変えた。人材は医療の質を高めるために必要で、必然的に人件費はアップするが、それにかかる費用は皆で努力して取り戻している。実際人件費は毎年6%程度アップしたが、そのうち3%はベースアップや定期昇給であり、後は人員を増加させたり、教育、研修など職員に能力養成のチャンスを与えるために使用している。我々が得る利益は目的ではなく結果であり、次の改革をする財源と考えている。ここが利益を目的とする企業とは異なる点である。
材料費の合理化は経営に大きい影響がある。血管造影部門の材料費は月間8000万円あり、材料の値段を10%下げることができれば年間1億円の改善が見込める。寄付や医師への付帯サービスは一切断ることが重要である。材料の仕入れは一本単位ではなく、数を多くして注文し、メーカーから全部直送させることなどの流通改善が必要。トヨタが材料の仕入れをメーカー直接として莫大なコスト削減をしていることは有名である。
4.病院改革について
病院改革の理由は、(1)借金を返すのに経営基盤を確立すること、(2)受診者のためを考えた医療を提供するために経営体質を変えること、(3)内部的には職員の満足をたかめることの必要性から始まった。
当時、看護部は上部からの管理が強く自主性が弱く、コメディカルは組織力に問題があり、事務部門は作業中心で企画、開発力が非常に弱かった。事務所にはコンピューターが2台しかなく、作業効率は大変低かった。業務内容も決まったことの繰り返しに終始し、引き出しの中には未請求のレセプトが山積みだったといった事件も起きていた。医師は各々が孤立していてばらばらで、チームとしての動きはないように見受けられた。これではまずい、どうにかしなければと、コンタクトを繰り返し、一緒に酒を飲みにいき、同窓後輩のつてを利用し声をかけたこともあった。何しろ情報をつなぐ仕組み作りに努力した。集団の中にいるという感覚が皆にも出てき始めた。
院長のトップダウンで3ヵ年経営改造計画を発表した。院長と事務長は一心同体と考える。院長は経営の勉強はとくに大学ではしてこない。経営のことは事務長の責務である。事務長は経営の知識を持ち、実行できる人でなければならない。3ヵ年計画で問題を整理すると、(1)受診者へのサービスが悪い、(2)病院経営がなっていない。(3)職員の働き甲斐がないことに集約された。
一般的に病院組織には、医師、看護婦、医療技術、事務の4部門があるが、この部門を組織の単位にすることには問題があると思う。このような職能別組織は管理には向いているが、横断的に協力、協働していくことには弱い。これからは組織体制の見直しも必要である
当時は患者、家族への説明不足を問題とする意見が多かったので、インフォームドコンセントの徹底が重点課題となった。その対策がクリニカルパスだった。院長がアメリカの病院で見てきた退院計画書が参考になった。病院改革には職員の意識統一が重要、ヴィジョンを明確に打ち出していくことでこれを引っ張ることができる。
5.手術室が足りない
当院は入院の一日単価が高いといわれる。病床回転率を上げ、在院日数が短縮すれば一日あたりの収益が上がる。その意味で手術室のもつ役割は大きい。手術は月曜日と金曜日には術数が少なく他の日に集中していたので調整し平準化した。さらに増加傾向にあったので、検討したところ、4室の増設要望があり、とりあえず手術室を2室増やすこととした。土曜日に手術をするという申し出があるぐらい忙しい、手術室は87%の稼働率と聞いている。そこでも医者が前向きになることの影響は大きい。麻酔科医は5.5人しかいないが、年間3300件の術例があり、全身麻酔が2/3を占めている。手術室の看護婦さんたちも忙しい。その支援に、後かたづけの業務を中央材料室の業者に委託し、男性3人を入れて夜中でも出来るようにした。コストは看護婦さんの70%程ですんだ。
6.コスト削減
薬品、物品の購入コストに関して、医療機関側はほとんど情報を持っていない。九州の済生会の施設で2年間かけて情報交換のネットワークを作った。そのお蔭でリネン費用の半額を含めて材料費は2億円以上も下がった。SPDというシステムで業者に材料の仕入れと管理を任せる考えがあるが、初期の頃はこれまでの価格が判っているので安くなったと喜べるが、2、3年後には業者がイニシアティブを取り始めてくる。このとき病院ではいかに管理ができるかが課題となる。コンピューターシステムの導入時に市販のソフトをそのまま導入すればうまくいき、何故かカスタマイズするとうまくいかないことが多い。注文ソフトは納期が一日後れればいくらと最初から決めておかないと損をする。関係業者の対応は一病院で考えると限界がある。担当者を集めてやる集団の力が必要。医療側で情報を交換しながらコスト削減を図る必要があると思う。
原価計算は診療科別のものくらいは必要。医師を巻き込んで基準を構築し、納得ずくでやらないと折角作っても信用してもらえない。財務計算会計ではなく、これからは管理会計が必要となってくる。
6.働き甲斐のある職場つくり
働き甲斐のある職場を作ろうというテーマから人事制度の改革が必要になった。目標管理制度は最初からあったわけではない。3ヶ年ヴィジョンを職員に提示し、これに関して自分のチームや自分自身の行動計画書を書いてもらい、書いてもらったことに関して実行の具合や成果、成績を評価しようという考えで行った。働き甲斐の充足には福利厚生の充実より、組織改善と情報公開がさらに重要である。チームが持っている力が最も大切で、医師が上から押えつけるようではだめ、医師も看護婦も事務も技師も、自由闊達に動くことが求められる。情報不足でトップが何を考えているかがわからないことが病院の問題。情報こそが病院を変えるといっても過言ではない。
7.戦略、医療のネットワーク。
以前、整形は平均在院日数が40日だった。部長が変ればやりかたも変る。リハビリテーションはPTがいなかったため何も行っていなかった。当時、脳梗塞の急性期リハビリテーションが行われていなかった。PTは9人にいる。脳卒中センターはリハビリテーションが充実し、受け入れ側が引き受けやすくなり、これを契機に在院日数が短縮していった。外科はなかなか下がらなかったが、元気の良い新任の医師が頑張って、だんだん下がっていった。なんといっても医療に関して医師はリーダーであり、チームを結集させる力がある。問題のポイントに医師がキーを握っている場合が大変多い。
患者の満足や働く人々の満足を目標とし、奉仕の精神、自由な発想のもとで、資源を次の医療活動に投入し組織を永続させる。それが非営利組織の経営と思える。
II,医師の評価制度
8.人事
評価だけを行うのではなく、評価をしたらその結果に従い、必ず処遇をすること。評価の結果、問題点があれば教育をする。教育の成果が上がればまた評価をし、結果にはまた処遇を組み合わせる。重要なのはチームの考え方であり、一人一人が価値を持っていて、そのうえで集団のさらにおおきな価値が生まれるという考え方が基本になる。
9.年俸制
幹部と管理者全員に年俸制を適用している。それまでは医師の部長は、部下の診療内容に責任を持とうとせず、とても給料に見合う役割を果たしているとは思えなかった。部門の長には管理者としての責任を持ってもらう、このことが年俸制度導入の目的だった。リーダーの仕事は人材の育成、共有されたヴィジョンに沿って行動することである。旧制度では45歳を過ぎると昇給幅が低くなり、10年たっても100万も変らない仕組みであった。努力が報われる制度を作ろうと持ち出して反対はなかった。成果に報いる仕組みをしっかり作ること。それは病院にとっては戦略の実現であったし、個人には自己の実現であり満足につながった。
10.年功と評価と業績の融合から構成、
業績が重視されすぎると生活基盤が成り立たないという懸念があり、始めは年功序列賃金制度の部分のウエイトを大きくしてスタートした。制度が定着するにつれ年功の部分を少なくしてほしいという意見が出てくるようになった。ただし部長職は院長、副院長職に比べて、自分の裁量で業績をあげる自由度が少ないから年功の部分を大きくした。業績の評価は順番を付け上位から何%がA評価、次がB評価と相対評価といったようにはしなかった。一人一人のペースが違うことを前提に絶対評価とし、個人がデザインした計画の成果を評価する制度が必要である。
11.目標管理
目標管理にあたって、病院がめざす方向への努力度、貢献度と、個人が何を求め、何を行ったかという両面を書面に書いてもらった。これは個人チャレンジをあおる目的で問題意識を持つための訓練と考えている。問題意識は、場面ごと時間ごとに変り、常に意識し修正される性格のものである。紙を書いて整理しておくようなやり方は過渡的なもので早く卒業したいと思っている。
12.面接
以前は院長が現場の長と面接することはなく、部下は院長の意思と離れたところで行動することが普通だった。院長、副院長が評価者になり部長を面接すると、フィードバックが生まれ、意思の疎通が出てくる。例えば、院長が資料をもとに「年度の計画はどうなったか」と質問し、部下が「今年は出来なかった」と回答、「それでは次年の努力に期待する、成果が上がれば評価する」などというやり取りになる。面接では院長は言いにくいところも言わなければならない。それが上に立つ者の役割のひとつである。対話は部長と部下、課長と課員の間で繰り返えされる。現場では職員の数が多いから面接による目標管理制度は時間がかかり過ぎて、管理的な部分に重点が置かれやすい。目標管理は早く卒業して、黙っていても個人が目標を持って働きそれが簡単に評価できるようなシステムに変らなければならない。
13.年俸制度
年俸制度は、方向や手段など在る程度自由度をもった「長」の付く者に行うが、その下はやれない。経営管理会議のメンバーや部長が対象になる。しかし、医師の中の医長職もいろいろな部門の長になっているし、医長の考えで質が変わり、量がかわる。この4月から医長の年俸制も始めることを計画している。
基本俸給部分は60%でこの部分は従来どおり毎年自動的に上がっている。あとは病院の経営状態によって変動する。指数を乗算して大きな変動がないようにしている。院長の基本俸給の比率は下げなくてはいけないと思っている。年俸の構成はやってみて初めて悪いところがわかる。最初から正しいものはない。最初から完璧な制度ありきではなく、問題点に敏感であり、間違いが判ればすぐ修正していく姿勢が必要。
14.能力の評価
能力は発揮しないと意味がない。それを使って何をしたかという結果が問われる。また結果だけの評価ではだめで行動を評価しなければならない。行動(competency)をしたことが成果につながっていく。成果が悪くても行動を評価することが必要なこともある。
15.評価の内容
年俸者申告書は2通りあり、一つは前年度の取り組みで個人が設定した目標の成果について、項目ごとに反省や成果を求めている。次に本年度の目標設定を要求する。もう一つの年俸申告書は、病院が掲げた主要課題の取り組みについてはどうであったか?と質問し、病院の方針目標にあわせてどのように実行し成果を残したかを記入してもらう。
院長はこれを元に、病院の方針、例えばインフォームドコンセント、リスクマネージメントに何をしたかを質問する。売り上げがどうであったかなどは、院長の手元資料にはあるが質問書では要求しない。本年度の目標は評価を受ける長が自分自身で決める。それが個人のヴィジョンとなり、病院としてはそれが価値観(value)となる。事務職は自分の意思だけで出来ないことが多いから評価の仕方を変えている。
本人の申告に基づいていて数字は出さないから証拠は何もないが、お互いの意思疎通により何を評価しようかということが自然に決まっていく。とりあえずは病院が要求することが評価の対象になるが、なによりも職員自身がどのようにやるかに重点が置かれる。
評価は面接する院長のコンピューターにきざまれていく。評価の対象が増えて院長だけでは出来なくなった場合には、もっと客観的な指標が必要になってくる。
年俸評価をすると極端に給料が上がる場合がある。実際には換算の率で補正する必要がある。幹部ではマイナスになることはほとんどない。幹部はマイナス点をとっていてはならない。一年間に80万から90万円昇給する人も出てくる。
副院長、事務長、総婦長の面接は院長が一人でやる。外科系の副部長は部長と副院長が複数で、同じように面接する。長い時間がかかるが、話し合いが進み評価につながる。
個人申告書に書く元になる病院の方針は、毎年正月の初出日に行う院長挨拶で示される。その方針に基づいて自分達はなにをしたら良いかを書いて面接に使う。院長は何を要求するかというメッセージをどんどん発信しなければならない。どの方向に持っていくかを明確に伝える。院長の言うことがすべてかというとそうでもない。しゃべる前の段階で部長研修会や医長研修会や管理職研修会で出た内容を院長の頭にいれておきそれが年頭の辞になる。研修会で言ったことがそこに出てくれば自分も参加しているという意識になる。
16.賃金
賃金は改革するのが難しい。事務の給与カーブは今までよりはぐっと上がり看護婦と同じような体系となった。病院がそれだけ功績を認めた形である。年功の体系で差が付かないものは、賞与で考える仕組みにした。賞与を評価し、昇格のときの評価も同じようにした。これは実績評価であり能力評価ではない。それも絶対評価で、いい人がいれば何人でもあげることにしている。結果はプラス評価の人が30%以上、マイナス評価が3%くらいになった。評価の眼が高くなるにつれてマイナスになる人が増えてきた。
17.賞与評価の改善
賞与評価は決まったものではなく改善されることが重要。評価者は見慣れない人の評価を行わない。総婦長が現場の看護婦を評価することはない。院長は部長の意見を引き出すことを主眼に置き、評価の基準となる事柄が変わった時には説明会をやって公表することをしている。
18.医師の評価
医師の評価には業務の質に関するものを入れている。同じものを自己申告で提出させて面接する。評価が一次と二次が異なるものは集まって議論することにしている。抽象的な評価は出来るだけ避け、協調性などということはあまり問題にしない。能力も評価しない。
19.職員教育
職員教育の狙いはチームとして必要な人材を作ること。縦割りの教育では効果がない。横断的な教育に重点を置いている。ラグビーのスクラムはそれぞれの役割を重視しチームプレイに徹するところが魅力、研修会では良くこの話をする。済生会グループで意思の疎通を図ることもやった。院長も参加し、医療界の現況、将来の済生会熊本病院の夢などを熱く語り、夜遅くまで議論が続いたこともあった。
医長以上の幹部は医療情勢のほかに病院方針や事業計画なども研修する。中間職は病院の現況や役割認識がテーマとなる。ゆくゆくは教育に従事する専任の医師を任命して人材育成センターを作ろうと思っている。
20.専門的横断組織の立ち上げ
人材育成センターのほかに、医療の質を管理する専任の部門も考えている。NST、レセプトに関すること、カルテの管理に関することもここに入れることが出来ると思っている。これらは医師を中心に作る予定であり、直接診療をしないが医師の役割と考えている。
21.人事制度改革を成功させるには
人事制度改革では、誰が何を評価するのかが明確でないことが問題にされることが多い。病院の方針、ミッション、ヴィジョンを明確にし、事業戦略と人事戦略を結びつけることが重要である。
又、患者中心のチーム医療が重要で、医師だけではない並列なポジションが必要である。そのことを意識した組織の再編成が必要で、それと評価/処遇/教育を連動させる。病院のための制度ではなく、職員のための制度である。制度改革には終わりがない、柔軟な対応が要求される。
22.これからの評価の方向
病院改革の視点は外部環境の変化に対応することになる。それは医療の原点への回帰であり、経営組織体として再構築が必要となる。非営利組織であることを再認識し、顧客満足、職員満足、組織の永続性が目的である。
l材を養成し能力つくりをサポートする。個人の自己実現を助けるキャリア形成システムが求められる。一週間休みを制度化し、自立型職員を、プログラムを作って養成することも行う。
23.経営における評価の位置付け
病院にはマネジメントがないことが多く、情報が流動化していない。マネジメントの基本はほって置かないこと、見守ること、さら
24.人事制度改革の方向
実力主義に基づく公平な処遇体制、プロフェッショナルな人に向上させることを絶えず行わなければならない。マネジメントは、計画企画、行動実行、成果統制、反省のサイクルでなるが、成果に価値が置かれるようになり、一致したコンセプトが自然に出てくる。
25.業績管理指標の導入
院長が毎年年始に基本方針を表明する。質を上げる、人材を育成するなどの方針が出されるが、回を重ねると元に戻ることもある。それはそれでいいと思う。実際には情勢を考えて事務がアイディアを出す。具体的には、顧客のニーズ、医業収益、経常利益、財務比率、収支比率、生産性などから考えて、内部プロセスと人材教育の立場から、おのおのの役割に沿って行動計画と業績管理をおこなっている。
26.評価制度構築の考え方
評価は成果と同時に行動を評価することが重要である。しかし行動が固定的にできれば次第に成果が中心になっていく。処遇マトリックスのなかで、研修医・レジデントは契約ベースの年俸制になる。医員・医長は職責ベースの年俸制、部長以上は年俸制である。若いときには能力習得評価も行う。医師は専門分野への特化とマネジメント分野への特化を考えている。これからの人事制度のキーワードは行動評価と人材マネジメントであり、「質の向上へ全力投球」これが大きな目的であり評価は難しくない。
27.質疑応答
質問:
ナースやコメディカルは賞与で評価し、医長以上は年俸で評価するという体系なのか?
回答:
年俸は院内での地位でその人が成果を得ることが出来る役職にあるものに適応するという考え方である。職種ではない
質問:
職員の評価にかかる費用は何か財源を確保してから行うのか?
回答:
材料費などで財源をとってからそれを職員の待遇を上げることに当てている。前年の利益配分である。その配分のために評価制度を取り入れているということである。海外への研修なども取り入れている。
質問:
改革の意識が低迷している場合、院長は何をしたら良いのか?
回答:
院長は面接などを通じて意識をマネジメントする。院長が時代の波を読んで啓蒙することが必要。院長は職員に対し自分の考えをどしどしメッセージとしておくるべしと考える。
質問:
電子カルテの導入に関してどう思うか?
回答:
金額が安くないので、しっかり効果を確かめてから行いたい。クリニカルパスを電子カルテに置き換えることが重要であると考えている。
質問:
横断的管理体制と医師と看護婦など職種の関係はどうなるのか?
回答:
医師や看護婦といった縦型の体系は作りたくない。センターなどの業務に関係する横断的な組織が中心になり、これまでの職種集団は人材育成という仕事を担うことになる。
質問:
評価の結果は本人にはどのように伝えられるのか?
回答:
その場で評価をしていき、まとまった評価は院長が個別に評価を伝えている。
質問:
やめさせたいときには降格にするのか?
回答:
熊本大学の派遣を受けている場合は交代を頼んでいる。その場合は証拠を持って先方を説得することにしている。方針が合わないで退職したケースもある。降格にした職員が退職したことはある。
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