医療制度研究会
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2009年08月13日
中澤堅次理事長の「自民・民主のマニフェストを読む
「医療が焦点から外された」、自民・民主のマニフェストを読む
「走るのを止めて、遅れた人を待つ姿勢のある党を選びたい」
2009年8月12日 中澤堅次(医療制度研究会理事長・済生会宇都宮病院院長)
自民党と民主党のマニフェストを見る限り、医療に関しては、表面上ははっきり区別がつかない。具体案が示されていないことによると思う。他の資料を参考にすると、少しは違いに気づくが、残念ながらマニフェストに反映されている部分は、どちらにもやる気はあまり感じられない。医療は争点から外れている感じがする。
民主党のマニフェストには医療介護で年1.6兆円の増加とある。高齢人口の増加に伴い、医療費だけでも年間1兆円の自然増なので、毎年1.6兆円増えたと考えても少し試算が足りないのではと思う。出産子育てに5.5兆円と書いてあるのに比べると、なんともバランスが悪い。
一方、自民党は将来の医療費の見通しをマニフェストに書いていないくらいなので、やる気のほどが分らない。政府の社会保障国民会議は2025年に医療・介護費用は85兆円になると推測しているが、医療政策の柱は相変わらず病床削減、在院日数短縮で、「厚生労働省丸投げ」の構図は変っていない。はっきりした考えはなく、医療介護費用の増加は消費税率引き上げの根拠にしているだけで、社会保障国民会議の方針は党の方針は違うと言っているようにも感じる。
では、医療のことを真剣になって考えているのは、この国ではいったい誰なのだろうか。誰も考えていないから、医療に理解のない厚労官僚が作文すれば通ってしまう。民主党がマニフェストで掲げているように、中医協を解体して国会審議で診療報酬を決めるのは良いが、本気でやるなら別な仕組みが必要である。今の医師会ではこの機能を果たせない。
国民の生と老いと死を真剣に考える立場にあるのは医師だろう。しかし、今の医師の団体は分裂していてまとまりがない。医療の再建に何年かかるか、果たして間に合うのか分らないが、病人の権利、すなわち老いて死を前にした人たちが生きる権利を尊重する、まじめな議論はいずれにしても続けなければならない。今回の選挙は、走るのを止めて、遅れた人を待つ姿勢のある党を選びたい。
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