医療制度研究会 〜21世紀の医療を共に考える会〜

東北大学地域医療シンポジウムの講演要旨から < TOPICS一覧 > 本田宏氏の執筆書籍

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2006年12月12日

(第2報)東北大学地域医療シンポジウムの講演要旨から


医師不足の問題は、「絶対数の不足」としての対応が必要

東北大学大学院医学系研究科助教授 金村 政輝先生


診療科の廃止・制限は小児科・産科に限らず増え続け、病院勤務医の大量辞職も起きている。今日の医師不足は、身近なところで受けられた医療が受けられなくなってきているという重大な問題であり、国が言うような「偏在」という限られた地域・診療科だけの問題ではない。我々が東北地方の全病院を対象として行なったアンケート調査では、49%の病院から回答を得たが、病院の46.6%が法令上の医師不足と回答し、人口30万人以上の市にある病院でさえ26.6%が医師不足であった。運営上では、83.8%の病院が医師不足であり、必要医師数は合計で約1300人に達した。診療科別に見ると、内科205人、整形外科101人の順であり、地域・診療科を問わず医師不足であることが明らかとなった。医師数の国際比較によると、医師数の多い大都市圏であってもOECD加盟30ケ国の平均以下である。病院勤務医の勤務時間は英・独よりも極めて長いことを併せて考えると医師の絶対数の不足と見ることが合理的である。現在の医師不足問題を解決するためには、医師の「絶対数の不足」としての対応が必要であり、まずは医師の増員が必要である。また、勤務医が置かれている苛酷な労働環境を改善し、やりがいを持って勤務を続けられるようにすることが不可欠である。そして、大学からの医師派遣に頼らず地域に必要な医師を地域で育てることができる地域医療体制を構築していくことが必要である。

日本の医師不足―現状で医師が不足となる明らかな理由

東北大学大学院医学系研究科地域医療システム学(宮城県)寄付講座教授 伊藤恒敏先生

日本は深刻な医師不足である。国際比較もそうだが、国内の現状でも医師が不足となる明らかな理由がいくつもある。@、「医師調査」による医師数(平成14年施設従事者25万人)と「医療施設調査・病院報告」の医師数(医療従事者数29万人)の乖離(つまり、現在の病院体制が29万人の医師で運営されているのに実数は25万人しかいない:4万人不足)、A、医師の労働時間が過酷である。(大阪府医師会の調査では平均週に64時間、長谷川俊彦氏の調査でも66時間:すべての勤務医を週40時間に制限すると約10万人不足)、B、医療が集約化・高度化すれば診察に当たる医師が実質的に減少、C、患者一人当たりに費やす時間が大幅に増えているので、やはり診察医が減少、D、女性医師が増加しており、平成16年で17%になっている(女性医師の職業的平均余命は男性のそれ(約50年)より3年短い、労働時間など男性より短い(大阪の調査で男性の85%:双方の合計で女性医師の労働力≒男性医師の80%:この不足分を医師数で調整すべき「粗い集計で約7千人不足」ところ、何の措置も講じられていない)E、日本の医療現場では何もかも(注射・投薬・検査の予約・病歴の記録など)医師に業務が集中しており、診察に割く時間が少ない。平成18年8月に発表された政府の新「医師確保対策」は従って、焼け石に水である。現状の医療の改善には医師の増員が必要不可欠である。このままではやがて国民が医療をまともに受けられなくなってしまいます。




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